メガネフレームを自分で塗装できたら、気分に合わせて色替えできて最高ですよね。けれど、下地処理を甘くするとすぐ剥がれたり、溶剤で素材が傷んだりと落とし穴も多めです。この記事では「メガネフレームの塗装を自分でする」ことを軸に、素材の見分け方から道具選び、失敗しにくい手順、長持ちさせるコツ、やらない方がいいケースまでをまとめて解説します。読めば、やるべき準備と避けるべき失敗がはっきりします。
メガネフレーム 塗装 自分でやる前に知るべき基礎知識
メガネフレームの塗装は、手順そのものより「塗れる素材か」「剥がれない下地が作れるか」で成否が決まります。さらに目や肌に近い道具なので、安全対策も必須です。まずは基礎を押さえて、後戻りしにくい失敗を減らしましょう。
塗装できる素材・できない素材の見分け方
塗装の可否は素材で大きく変わります。一般的にはプラスチック(アセテート系)と金属フレームが対象になりやすい一方、特殊コーティング品は難易度が上がります。購入時の説明書、ブランドの素材表記、テンプル内側の刻印(例:TITANIUMなど)をまず確認します。
目安としては次の通りです。
- アセテート・樹脂:下地処理がうまくいけば塗装しやすいが、溶剤で変形・白化しやすい
- ステンレス・合金:プライマー次第で比較的対応しやすい
- チタン:密着が難しく、剥がれリスクが高いので慎重に
- 既に塗装・メッキ・ラバー塗装:上から重ねると剥がれやすく、旧塗膜の状態に左右される
迷ったら「高価なフレームほど自分塗装に向かない」と考えると安全です。
仕上がりを左右する「下地処理」の重要性
塗装は色を乗せる作業に見えますが、実態は下地作りが9割です。皮脂や整髪料、日焼け止め、汗の塩分が残ると、塗料が弾いたり、時間差で剥がれたりします。塗膜は薄いので、下地の傷や凹凸もそのまま出ます。
基本はこの順番です。
1) 脱脂で油分をゼロに近づける
2) 足付けで表面に細かい傷を作り、密着面を増やす
3) 必要に応じてプライマーで素材と塗料の橋渡しをする
4) 薄塗りを重ね、乾燥と硬化を待つ
これを守るだけで、見た目と耐久性が大きく変わります。
塗料の選び方(プラ用・金属用・水性/油性・ウレタン)
塗料は「フレーム素材」と「触れる環境(汗・皮脂・アルコール)」に合わせて選びます。メガネは顔に近く、触る回数も多いので、乾燥が早いだけの塗料だと耐久不足になりやすいです。
選び方のポイントは次の通りです。
- プラスチック用:プラ用プライマー+上塗り塗料の相性が重要
- 金属用:金属用プライマーやサーフェイサーで密着を確保
- 水性:臭いが少なめだが、耐溶剤・耐汗で不利なことがある
- 油性(ラッカー等):仕上がりは良いが、溶剤が強く素材を痛めやすい
- 2液ウレタン(上級者向け):強い塗膜が期待できるが、取り扱いと安全管理が難しい
実物の塗料缶やメーカーの適合表、SDS(安全データシート)で「使用可能素材」「乾燥時間」「耐溶剤性」を確認するのが確実です。
スプレー塗装と筆塗りの違いと向いている人
スプレーは広い面を均一に仕上げやすい反面、飛散が大きく、マスキングと作業環境が重要です。筆塗りは局所補修や小面積の色替えに強いですが、筆跡やムラが出やすく、研磨と重ね塗りで整える必要があります。
向いている人の目安です。
- スプレー向き:全面を均一に、工芸品っぽい仕上げにしたい人
- 筆塗り向き:ロゴ周りを避けたい、部分的に色を変えたい人
- どちらも共通:薄く重ねる、乾かしてから触る、を守れる人
まずは目立たない内側で試し塗りして、乾燥後に爪で軽く擦り、簡単に剥がれないか確認すると安心です。
必須の安全対策(換気・保護具・火気・肌トラブル)
塗装は溶剤や微粒子が発生します。屋内なら換気扇+窓開けだけでなく、できれば屋外やガレージなど風通しの良い場所が向きます。マスクは粉じん対応だけでは不足な場合があるので、塗料の種類に応じた防護具を選びます。
最低限の対策は次の通りです。
- 換気:風上に立ち、周囲に人がいない環境で作業
- 保護:手袋、保護メガネ、必要に応じて防毒対応のマスク
- 火気厳禁:スプレーや溶剤は引火しやすい
- 肌トラブル:溶剤の脱脂力で手荒れしやすいので保湿もセット
少しでも体調が悪くなったら中断し、無理に続けないのが鉄則です。
レンズやヒンジを守るマスキングのコツ
レンズに塗料が付くと、拭き取りでコーティングを傷つけることがあります。基本はレンズを外すのが理想ですが、難しい場合は丁寧な養生が必須です。ヒンジ(蝶番)やネジ周りも、塗膜が乗りすぎると動きが渋くなります。
マスキングのコツは次の通りです。
- レンズ全面をフィルムや紙で覆い、縁をマスキングテープで密着
- ヒンジの可動部は塗料が入りにくいように最小限で養生
- テープの端は爪やヘラでしっかり押さえ、隙間を作らない
- 角や曲面は細切りテープで分割して貼る
剥がすタイミングは「完全硬化前」にすると、塗膜の縁が欠けにくいことが多いです。
失敗しやすいパターン(剥がれ・ベタつき・割れ)と回避策
よくある失敗は原因がはっきりしています。対策もセットで覚えると安心です。
- 剥がれ:脱脂不足、足付け不足、プライマー不適合、乾燥不足
- ベタつき:厚塗り、低温多湿、相性の悪い重ね塗り、硬化不足
- ひび割れ:塗膜が厚すぎる、フレームのしなり、素材と塗膜の相性
回避策は「薄塗りを複数回」「乾燥を長めに」「可動部や曲がる箇所は塗膜を薄く」です。特にテンプルは曲がりやすいので、厚く塗るほど割れやすくなります。
自分でできるメガネフレーム塗装の手順(初心者向け)
ここからは実際の手順です。塗装は一気に仕上げようとすると失敗しやすいので、準備で時間を使い、塗る時間は短く、乾かす時間を長く取るのがコツです。作業前に塗料メーカーの使用方法と乾燥時間も必ず確認します。
分解・養生・脱脂までの準備手順
可能ならレンズ、鼻パッド、モダン(先セル)を外します。外せない場合は養生を強化します。ネジは小さいので、トレーや小袋で左右を分けて保管すると組み戻しが楽です。
準備の流れは次の通りです。
- 洗浄:中性洗剤で軽く洗い、皮脂や汚れを落とす
- 乾燥:水分を残さない(隙間も綿棒で拭く)
- 脱脂:パーツクリーナーやシリコンオフ等を布に含ませ、全体を拭く
- 養生:塗らない部分(レンズ、ヒンジ内側、ネジ穴など)をマスキング
脱脂剤は素材を傷める場合があるので、目立たない箇所でテストしてから全体に使うと安全です。
足付け(研磨)の番手目安とやり過ぎ防止
足付けは「削る」のではなく「細かい傷を付ける」作業です。強く擦ると形が崩れたり、角が丸くなったりします。番手は素材と現状の塗膜の強さで変わりますが、迷ったら細かい番手から始めます。
目安の考え方です。
- 既存塗膜がツルツル:やや粗めで軽く均す→細かめで整える
- 素材が柔らかい樹脂:粗い番手は避け、細かめで均一に
- 角や刻印:削り過ぎ注意、軽く当てる程度
研磨後は粉をしっかり落とし、再度脱脂してから次へ進みます。
プライマー・サーフェイサーの使い分け
プライマーは「素材と塗料の密着」を助け、サーフェイサーは「小傷を埋めて面を整える」役割が中心です。金属には金属用、プラスチックにはプラ用のプライマーが基本で、適合外の組み合わせだと剥がれの原因になります。
使い分けの目安です。
- 密着が不安:素材用プライマーを薄く
- 小傷やムラが気になる:サーフェイサーで面を整える
- 既存塗膜が弱い:旧塗膜を可能な範囲で落とし、下地から作り直す
ここで急ぐと、後工程の修正が何倍にも増えます。乾燥時間は余裕を持たせましょう。
本塗りのコツ(薄く重ねる、距離、角度、乾燥)
本塗りは「一回で色を出さない」が鉄則です。スプレーなら距離を一定にし、動かしながら吹きます。止め吹きはタレの元です。筆なら塗料を付けすぎず、同じ場所を何度も触らないのがムラ防止になります。
スプレーの基本動作は次の通りです。
- まず試し吹きで噴射の状態を確認
- フレームの外から吹き始め、外で吹き終える
- 薄い層を作り、数回に分けて色を乗せる
- 乾燥は指で触りたくなる前提で、触らない時間を確保
部分塗装なら、境目を作りたい位置を明確にして、最後に軽くぼかすと自然に見えます。
クリアで耐久性を上げる方法と注意点
メガネは擦れやすく、汗や皮脂にも触れます。クリアは見た目のツヤだけでなく、塗膜を守る役割もあります。ただし相性が悪いと縮みや白化が起きるので、同一系統で揃えるのが無難です。
注意点は次の通りです。
- 本塗りが十分乾いてからクリアへ進む
- クリアも薄塗りを重ね、厚塗りしない
- 乾燥後に触れるのではなく、硬化まで待つ
- ツヤ消しは指紋や擦れが目立つ場合がある
完成後は最低でも数日は優しく扱い、アルコール拭きは避けると長持ちします。
剥がれない・長持ちさせるためのコツ
塗装直後は一見きれいでも、数日後に剥がれることがあります。原因は「乾いたように見えるだけ」で、内部がまだ柔らかい状態のまま使ってしまうことです。ここでは耐久性を上げるための考え方を整理します。
乾燥と硬化の違いを理解する(触れる=完成ではない)
乾燥は表面の溶剤が抜けた状態で、硬化は塗膜が強度を持つ状態です。触れるようになっても、曲げや擦れに弱いことがあります。特にテンプルの開閉や、頬に当たる擦れはダメージになりやすいです。
対策はシンプルです。
- 触れるのは最小限にし、置き場所を決める
- 温度と湿度を安定させる(寒すぎる場所は避ける)
- 使い始めを遅らせ、硬化時間を十分取る
急いで使うほど剥がれやすくなります。
汗・皮脂・アルコールに弱い塗膜を守る工夫
日常のメンテが耐久性を左右します。汗や皮脂は塗膜の劣化を早め、アルコール拭きは塗料によっては溶けや白化の原因になります。レンズクリーナーでもアルコール系があるので注意が必要です。
守り方の例です。
- 拭き取りは中性洗剤を薄めた水で優しく
- 乾いた布で強く擦らず、押さえるように水分を取る
- 夏場はこまめに洗い、放置時間を減らす
- 保管はケースに入れ、擦れを減らす
塗装したフレームほど「優しい洗い方」に切り替えると長持ちします。
鼻パッドやモダン(先セル)など消耗部の対策
鼻パッドやモダンは肌に触れる面積が大きく、摩擦と汗で劣化しやすいパーツです。ここを塗装で無理に解決しようとすると、剥がれやベタつきが出やすくなります。
おすすめは「塗装より交換」です。
- 鼻パッドは互換品が多く、色や形で印象が変わる
- モダンは交換できるフレームもあり、握りやすさも改善する
- ネジやパッドアームは緩みやすいので、定期点検する
消耗部を交換し、塗装は見た目の面積が大きい部分に絞ると成功率が上がります。
よくある失敗とリカバリー方法
失敗しても、研磨して再塗装すれば直せるケースは多いです。大切なのは、無理に重ねて悪化させないことです。ここでは典型例と、戻し方の基本手順をまとめます。
ムラ・タレ・ブツの直し方(研磨→再塗装の流れ)
ムラやタレは、完全硬化を待ってから直すのが基本です。乾ききっていない段階で触ると、指紋や引きずりが残ります。
リカバリーの流れです。
- 硬化を待つ(焦って削らない)
- 表面を軽く研磨して段差をならす
- 粉を落として脱脂
- 薄塗りで再塗装し、必要ならクリアで整える
ブツ(ゴミ噛み)は、作業場所の清掃と静電気対策で減らせます。吹く直前に周辺のホコリを抑えるだけでも効果があります。
ベタつき・指紋が付く原因と対処
ベタつきは厚塗りや乾燥不足、相性の悪い重ね塗りで起きがちです。気温が低い、湿度が高い環境も影響します。表面だけ乾いて内部が柔らかいと、指で押した跡が残ります。
対処の基本は次の通りです。
- まずは時間を置き、硬化を待つ
- 改善しない場合は、表面を研磨して塗膜を薄くする
- 相性が疑わしい場合は、下地から作り直す判断もする
ベタつきの上から無理にクリアを乗せると、閉じ込めて悪化することがあります。
ひび割れ・剥離が起きたときの撤退ライン
ひび割れや剥離は、塗膜が硬すぎる、厚すぎる、素材がしなる、などの複合で起きます。特にテンプルの曲げ部分やヒンジ周辺は力がかかるため、完璧に塗っても長期で傷みやすいです。
撤退ラインの例です。
- 曲げるたびに割れる:塗装より交換やプロ依頼が現実的
- 素材が溶けた・白化した:溶剤が強すぎた可能性、これ以上の作業は危険
- 目や肌に触れる部位で剥がれ続ける:安全面から中止
無理に続けず、代替案へ切り替える判断が最終的に得になります。
自分で塗装しないほうがいいケースと代替案
自分で塗装する価値があるのは、練習用やコストを抑えたい場合、または多少のムラも味として楽しめる場合です。一方で、壊したくないフレームや、特殊素材は別の選択肢が安全です。
高価フレーム・チタン・特殊コートはプロ相談が安全
高価なフレームは素材や表面処理が特殊なことがあり、一般的なDIY塗料だと密着しない場合があります。チタンは軽くて丈夫ですが、塗装の密着は難易度が高めです。ブランド独自のコーティングや、メッキ調の質感もDIYでは再現しづらいです。
プロ相談が向くケースです。
- 思い入れが強く、失敗が許されない
- 仕事で毎日使い、耐久性が必須
- チタンや特殊表面処理の可能性が高い
購入店やメガネ店に「再塗装や再コーティングの可否」「見積り」「納期」を確認すると判断しやすくなります。
部品交換(鼻パッド/モダン)で印象を変える方法
塗装の目的が「見た目の変化」なら、部品交換のほうが安全で効果的なことがあります。鼻パッドを透明からカラーにする、モダンを別色にするだけで印象は大きく変わります。工具が必要な場合もありますが、塗装ほど失敗のダメージは大きくありません。
取り入れやすい順番は次の通りです。
- 鼻パッド交換で雰囲気を変える
- ネジやパッドアームの点検で掛け心地を整える
- モダン交換が可能なら色替えする
まずは交換で満足できるか試すのも賢い方法です。
リメイクより買い替えが得なケースの判断基準
塗装は材料費が安く見えても、プライマー、塗料、クリア、研磨材、マスキングなどが揃うと意外にかかります。さらに失敗するとやり直しで追加コストになります。結果として、コスパ重視なら買い替えが得な場合もあります。
買い替え判断の目安です。
- フレームが歪んでいる、ヒンジが緩い、ネジ穴が弱い
- レンズも交換時期で、総額が大きくなる
- 作業環境が整わず、飛散や臭いの問題が解決しない
「練習用の安いフレームで試す→本命は別案を検討」が失敗しにくい流れです。
まとめ
「メガネフレーム 塗装 自分」は、道具よりも下地処理と素材確認が成功のカギです。脱脂と足付けを丁寧に行い、素材に合うプライマーと塗料を選び、薄塗りと十分な硬化時間を守れば、剥がれにくい仕上がりに近づきます。一方でチタンや特殊コーティング、高価フレームは失敗リスクが高いため、部品交換やプロ相談も現実的な選択肢です。まずは練習用フレームで小さく試し、問題がなければ本番へ。今日から準備リストを揃えて、安全第一でリメイクを楽しみましょう。



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